2019年9月4日
日鉄エンジニアリング株式会社
当社が製造した機械式継手及びターンバックルの一部において、国土交通大臣認定(以下、大臣認定)の仕様に適合しない製品(以下、該当製品)を出荷していたことが判明し、大臣認定を再取得して適合化を図ることになりましたことをご報告いたします。
該当製品を使用した体育館などの建築物(全22棟)については、第三者機関より、大臣認定取得時の品質・性能を満足しており安全性に問題がない旨の評定をいただいております。対象となるお客様および特定行政庁に対しては、個別にご説明を差し上げるとともに、適合化に向けて迅速な対応を進めてまいります。
お客様や関係者の皆様には、ご迷惑ならびにご心配をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます。また、今後このような事態を引き起こすことのないよう品質管理に万全を期すとともに、法令遵守を徹底してまいります。
(1)機械式継手について(認定番号MMJT-9005、図1参照)
(2)ターンバックルについて(認定番号MTRN-0001、図3参照)
これらの出荷された製品については、第三者機関より、大臣認定取得時の品質・性能を満足しており安全性に問題がない旨の評定をいただいております。
(1)機械式継手について
ノード及びエンドコーンの製造においては、素材時点の同一溶鋼毎の試験結果と製品時点の同一形状・同一寸法の試験結果を満足していれば、必要な強度が確保できることが、同製品の過去の実績に基づき確認されております(図2参照)。
(2)ターンバックルについて
出荷した製品のねじエンドの降伏点は、連結ボルトの降伏点345N/mm2(大臣認定規定下限値)より高く、また、ねじエンド・連結ボルト共にロープよりも高い強度で設計されています。伸びについては、ねじエンドは降伏耐力以下となるように設計されており、出荷した製品の規定値(16%以上)で、性能上問題になることはありません。したがって、ねじエンドの降伏点がターンバックル製品全体の強度に影響を与えることはありません(図4参照)。
(1)お客様等への丁寧な説明、特定行政庁への報告、是正の円滑な実施*、原因究明及び再発防止策の実施、相談窓口の設置を速やかに行います。
* 実際に出荷した製品の仕様で、改めて大臣認定を取得し適合化を図ります。
(2)今後このような事態を引き起こすことのないよう、品質管理に万全を期すとともに、法令遵守を徹底してまいります。
下表の通り、当社が取得した大臣認定上の検査方法では製品時点で同一溶鋼毎に検査することになっていますが、当社は素材時点で同一溶鋼毎の検査を実施しておりました。なお、この品質管理方法でも安全性に問題がないことを第三者機関に確認いただいております。
当社が取得した大臣認定では、ねじエンドの機械的性能を引張試験で管理するとしていたのに対し、実際には硬さ試験(製造委託先メーカーが取得した大臣認定の品質管理方法)で管理しており、規定値も異なっていました。
下図に示す通り、出荷した製品のねじエンドの降伏点は連結ボルトの降伏点345N/mm2(大臣認定規定下限値)より高く、また、ねじエンド・連結ボルト共にロープよりも高い強度で設計されています。伸びについては、ねじエンドは降伏耐力以下となるように設計されており、出荷した製品の規定値(16%以上)で性能上問題になることはありません。したがって、ねじエンドの降伏点がターンバックルの強度に影響を与えることはなく安全性に問題がないことを第三者機関で確認いただいております。
① 機械式継手
トラスの節点に用いる部材で、複数のトラス主部材を相互に構造耐力上安全に接合できるよう加工した球状の継手
② ターンバックル
引張荷重を負担するテンション材で、接合部および長さ調整機能(カプラーなど)を併せ持つ部材
③ 国土交通大臣認定
多様な建築材料や構造方法等の導入を可能とするため、建築材料や構造方法等について、その性能が建築基準法に適合していることを国土交通大臣が認定する制度
④ ノード
機械式継手の構成部位の一つで、トラス構造の節点となる球面体の部品
⑤ エンドコーン
機械式継手の構成部位の一つで、トラス主部材のパイプ両端に溶接されている円錐台状の部品
⑥ 同一溶鋼
同一の精錬工程(同一チャージ)において製造された鋼材
⑦ テンション材
大空間の屋根架構に使用される鋼棒・ケーブルから構成される構造部材
⑧ ねじエンド
ロープ両端で、カプラーとねじ接合される部位
⑨ 降伏点
材料の強度を示す指標の一つ。物体に力を加えていった際に物体の変形が急激に増加し元に戻らなくなる時の強度
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