DX推進を加速させる、社内デジタル人材育成のための多様なプログラム
どれほど優れたデジタル技術が存在しても、その技術を活用して実現するビジネスモデルを描き具体化できる人材と、実装までのプロジェクトマネジメントができる人材がいなければ、DXをうまく推進することはできません。しかし、そのようなスキルを備えたデジタル人材が圧倒的に不足しているのが現実です。
DX推進に必要なスキルやマインドを備えた社員を育成するために、デジタル技術で「業務効率化」や「事業成長」につながるテーマを、社員自ら"実戦"を通して解決するOJT(On-the-Job Training)プログラムや、社外からDX専門家を招いてのDX啓発セミナーなど、さまざまな支援を行っています。
(1) データサイエンティスト育成プログラム(AI系スキル)
データサイエンスの基礎的な分析手法を学習し、日々実行している業務に関し、データに基づく分析・推測・判断のスキル習得を目指す「ジェネラル・コース」と、データ解析ツール(Python®など)を活用し、最適な手法を用いて、担当業務の高度化や新たな価値を創出できる本格的なデータサイエンティストを育成する「アドバンスト・コース」など、データサイエンスを自ら学ぶための教育プログラムを実施しています。
※「PYTHON」は「パイソン ソフトウェア ファウンデーション」の登録商標です。
(2) DX推進プログラム(ビジネス系スキル)
デジタル技術を活用した「商品の付加価値向上」や「新サービスの創出」に向けて、デジタル利活用のポイントを取り入れながらDXに繋がる事業構想の具現化にめざす"事業の成長を促す"支援プログラムです。 ビジネスモデル策定に必要な手法を学び、自ら事業構想の計画書を策定するプロセスと、デジタル支援組織のサポート下で概念実証(PoC)を実施して事業化への道を切り開くプロセスを踏むことで、事業のDXを加速させます。
(3) DXセミナー
「壁を知り、乗り越える」、「主流を疑う逆転の発想」「既存の宝を最高に生かす」という視点で自らの仕事を見つめ、「今までの方法を変える」新しい価値を作り出すきっかけとするため、トランスフォーメーションを実践した経営者を始め、プロフェッショナルを招いた講演を通じて、自己啓発を目指すセミナーです。
(4) デジタルエンジニア、デジタルコーディネータ育成プログラム
NS-Smart Engineering®の早期実現に向け、豊富な業務知識を持つエンジニアがデジタルツールのリテラシーを高めることで更なる業務高度化や効率化が図れるよう人材のリスキリングを加速させます。
*デジタルツール(3DCAD/ビューアー、データ分析、プログラミング等)の機能、操作修得プログラムを実施
デジタル技術を商品技術力強化に繋げるデジタルエンジニアとその企画、整備、人財育成を担うデジタルコーディネーターを2025年には設計・製造・工事・プロジェクト管理を担う人材の約半数、2030年までに全員をデジタルエンジニア・コーディネーターに転換します。
社員一人一人がDXのキープレイヤーを目指して。DX表彰制度
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するため、デジタル技術を活用して、業務の生産性向上や新規ビジネスの創出などを行った社員を表彰する社内アワード、「DX表彰」を2020年度に開設しました。
年々DXの事例が増えています
DX表彰の開催を重ねるごとに、さまざまなデジタル化案件が増えてきています。気象データを活用した電力デマンド予測システムの構築や、全社員のコミュニケーションを深化して業務をスムーズにするデジタルツールの活用など、そのアプローチは多彩です。
表彰式の様子
DX推進者インタビュー
データサイエンス室 阿部 真晴さん
『データサイエンスを活用することで社会課題の解決を目指す。』
あなたの仕事について、DXの視点で挑戦していることは何ですか?
データやAIを有効活用することで、社会に貢献するエンジニアリング業界を力強く推進する、データサイエンス集団を目指しています。例えば、電力需要予測や自然エネルギーからの発電量予測と、それらをモデル化したシミュレーション技術をコアに、カーボンニュートラルに向けた最適な設備構成(太陽光パネルや蓄電池容量)が提案できるよう、技術開発を進めています。また、研究開発における要因分析や画像処理、設計業務のAIアシストなど、多くの課題解決に日々取り組んでいます。
今の仕事(データサイエンス)を志したきっかけは何ですか?
はじめはプラントの制御設計者として入社し、工場の自動化や最適化に情熱を注いできましたが、その後、自分たちの設計業務にも効率化が必要であることに気づき、データサイエンスを学び始めました。この技術は営業活動の支援や、デジタルドリブンな経営判断にも役立つ可能性を持っており、活動の幅を大きく広げることができました。
ご自身の仕事から上手にデータサイエンスを活用している事例があればご紹介ください。
養殖事業では、水中カメラの画像から残餌や食欲を数値で検出し、高いレベルでの自動給餌を達成し、スタッフの省力化に大きく貢献できました。
詳しくはこちら
DXが進む状況下で、今後デジタル人財には、どのようなスキルが必要と考えていますか?
DXの実現には、ビジネス変革だけでなく、社員一人ひとりが仕事に対するマインドを変革していくことが必要です。テレワークなどのワークスタイル変革はエンジニアリング業界でも広がり、紙中心だった業務のデジタル化が進みました。今後は整理されたデータを素に業務の自動化が進んで行きますが、その原動力はやはり社員一人ひとりだと思います。今後のデジタル人財には、業務効率化を求める意欲と、新たなビジネス価値を生み出す視点と、プログラミングスキルを兼ね備えた多面的な人財が求められます。DXCではそのための多様な講座を用意しており、今も次々と人財が育っています。私としても最新のトレンドを教育コンテンツに取り入れ、全社のデジタルスキルアップに貢献していきたいです。
CAE技術室 流体解析グループ 吉原 翔太さん
『高付加価値のCAEソリューションを幅広く提供します。』
今の仕事(数値解析)を志したきっかけは何ですか?
大学時代に数値解析ソフトを用いた授業がありました。実験を行わなくてもPC上で応力や変位といった様々な物理量を求められることに大変興味を持ち、将来はCAEを仕事とした職種に就きたいと考えました。
数値解析をDX視点で推進している事例があればご紹介ください。
数値解析とデータサイエンスの一分野である最適化技術を組みわせた"シミュレーション最適化"により、各種パラメータ(寸法や操業条件等)を合理的かつ効率的に求めた事例が挙げられます。最近では、機械要素部品やプラント設備の応力や重量が最小となる寸法を算出した事例などがあります。
DXの進展とともに、我々が処理すべき情報量がこれまでよりも格段に増えると思います。そこで、データサイエンス技術、特に数値解析にデータサイエンスを組み合わせ、設計エンジニアリングのフロントローディングへの寄与や、操業の最適化改善への貢献に取り組んでいきたいと考えています。そのために、機械学習等の習得や、関連する一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催するG検定やE資格の取得にも挑戦していきたいと思います。
デジタルEPC推進部 デジタルツイン推進室 山田 貴紀さん
『3Dプログラム設計開発で設計者の業務負荷を大幅に軽減』
あなたの仕事について、DXの視点で挑戦していることは何ですか?
3DCADの運用基盤全般の管理を専門としていますが、現在3DCADを用いて環境施設向けボイラーの3Dプログラム設計開発(Digital Module Generator)に取組んでいます。DMGはボイラーの能力に合わせて3Dモデル形状を自動変形するもので、これによりボイラー設計者の業務負荷を大幅に軽減し、仕事の進め方を変える事を目標としています。
今の仕事(3Dプログラム設計開発)を志したきっかけは何ですか?
従来のプロジェクトでも3D活用を推進していましたが、3D形状が保持している属性情報はEPCに関連する各工程においてもっと活用できると感じていました。DMGの開発を契機として自動変形による工数削減だけでなく、3Dの情報を設計/製造/工事の全EPC工程で繋げられるものにしたいと考えました。
EPCのデジタル化で推進している事例があればご紹介ください。
DMG開発における例になりますが、プログラム開発メンバーに加えて設計/製造/工事工程の関係者も実行メンバーとして参加しています。特に設計メンバーは実際にDMGプログラムを操作して3Dモデルを変形させ、プロジェクト用の3D検討を進めることになりますが、各EPC実行のメンバーがこの3Dモデルをどのように有効活用したいか意見を出しあい、一体となって作り上げていくことが大切だと考えます。
DXが進む状況下で、今後デジタル人財には、どのようなスキルが必要と考えていますか?
先ずはデジタルツール活用に興味がある方だと思います。業務改革を念頭に置き、デジタルツールを積極的に活用し、自部門にノウハウを展開できるメンバーが必要です。将来的にはEPC実行メンバーがデジタルEPC推進部の指導の下各デジタルツールの活用スキルを習得し、仕事のやり方を変えていただく体制作りができればと考えています。