働き方改革インタビュー
〜印西ロジティクスセンター新築工事の現場から〜

2018年4月27日

働き方改革インタビュー

ご安全に!

日本では今、多くの企業が働き方改革を進めています。建設業界においても、時短勤務や女性の活躍推進など、さまざまな取り組みが始まっているところです。当社の例では、「(仮称)印西ロジティクスセンター新築工事」(千葉県印西市/工期2017年1月4日〜2018年3月31日)の現場が、ユニークな発想で職場環境の改善や効率化に取り組み、成果を収めています。永盛孝幸所長と大石和久副所長に、働き方改革への取り組みやそこに込めた想いを聞きました。

左:大石副所長、右:永盛所長

所員の「4週8休」を目指したい
男性の育休取得も始まっている

メルマガ編集部(以下編集部):建設業界では、休日の拡大が大きな課題となっていますね。工期をできるだけ短縮したいという事情があり、今も週休1日という現場は少なくありません。最近は、変わってきているのでしょうか。

永盛所長:「4週8休」にはまだ遠いですが、休日を増やす動きになってきているのは確かです。現在のところ、当社所員は「4週6休(隔週で土日休み)」、作業員は「4週5休」です。派遣の作業員では、残業時間に協定があるため、それを遵守するようにしていますね。

大石副所長:建設業界は、日給制で工事に参加している作業員も数多くいますので、作業日が多い方が、給料が増えてありがたいという事情もあるのです。特に体力がある若い人は、働けるときに稼いでおきたいので、休みたがりません。そこが難しいところです。まずは、所員の「4週8休」を実現することを目指しています。

永盛所長:これからは、男性従業員の「育休取得」も増えていくでしょう。以前の現場では、男性所員が初めて育休をとりました。

大石副所長:5年前でしたね。当時は珍しく、厚生労働省からインタビューの依頼があったほど。建築業界も着実に変わり始めていますよ。

人が気持ちよく働ける現場では
モチベーションも作業効率も上がる

編集部:一方で、建築業界では人材不足が続いていますよね。

永盛所長:その通りです。工期を守りつつ、残業を減らすには、どう優秀な人材を集めるか、人数・職種のバランスをとることも重要ですね。

大石副所長:工事は分業で進めていきますから、作業員の人数のバランスが崩れると、全体の作業が遅れてしまいかねません。優秀な作業員に来てもらい、作業員のモチベーションを高めることも所長の仕事。所長の考え1つで、現場の雰囲気がガラリと変わることもありますからね。

編集部:具体的にはどのような取り組みをしていますか?

永盛所長:例えば、売店や食堂を作り休憩所にはエアコンをつけるなどの工夫です。涼しい休憩所で体を休めることができれば、その後の作業効率も上がります。作業員を派遣する協力会社にも喜ばれましたね。印西の現場は、所員20名、作業員200名の大所帯。だからこそ、できたことでもあるのですが。

大石副所長:そのほか、職場でレクレーションを定期的に行ったり、各職種の職長さんと食事会をしたり、コミュニケーションを密にして、とにかく明るい雰囲気作りを心がけています。明るい現場は、仕事がはかどるんですよ。また、働く人の安全を確保するために、新規入所者の教育や健康チェックもしっかり行っています。最近は、外国人の作業員も増えてきました。今後は、新規入所者用の現場教育マニュアルも、外国人向けにさまざまな言語を用意することになると思います。

編集部:印西の現場では、音楽を聴いて作業を行う作業員もいらっしゃるとか。

大石副所長:内装屋さんなど、一人で部屋にこもって黙々と作業をする職種では、ラジオや音楽を聴きながら作業をする人が多いんです。音楽を禁止する現場もありますが、うちは所長判断で、OKとしています。

永盛所長:音楽で効率が良くなるなら、いいと思いますね。

屋根やエレベーターの早期設置が奏功
「よい現場」と職人の評判も上々

編集部:今回は、新しいチャレンジがいくつかあり、作業効率がぐんと上がったと聞きました。

永盛所長:ええ、今回は物流倉庫の建設だったのですが、鉄骨を組みながら、屋根貼りを同時進行で進めました。当初は、建物の床材を急な雨から守るためのアイディアだったのですが、作業員にとってもメリットが大きかった。屋根があれば、雨の日も休まずに作業を続けられる、直射日光も避けられる上、とても涼しいということで、これがとても好評だったんですね。一石何鳥にもなりましたね。

大石副所長:例えば溶接工は、全国的に人数が不足しています。真夏は暑いし、高所に上がって作業をするきつい仕事で、技能も必要。しかも、雨で仕事ができなくなれば収入も減るということで、人気がなかった。でも、こうした工夫があれば、溶接工の担い手も増えるかもしれない。世の中ではIT化、AI化、機械化が進んでも、建築現場で人が担う部分はまだまだ大きいのです。先に屋根貼りをするということは、従来のやり方とは違うチャレンジでしたが、関係者が心を一つにすることで実現しました。所長のリーダーシップは見事でしたよ。

永盛所長:エレベーターを早い時期に1台だけ動かしたのも、やってよかったことの1つですね。異例のことでしたが、雨に濡れずにものを搬入できる、職人さんたちがいちいち階段を上り下りしなくていいなど、よいことずくめ。もちろん、設計者や施工主の協力があってこそ実現できたことです。

編集部:ほかに、働き方改革で目指していること、モットーなどはありますか?

大石副所長: 永盛所長は、基本的に現場に任せる人。1から10まで言わないけれど、ここぞというときに正しい方向へ導いてくれる所長です。それに、朝はいちばんに来て、夕方いちばんに帰るので、我々はサービス残業をしなくていい(笑)。若手は助かっていると思いますよ。

永盛所長:朝6時に来て、事務作業を済ませてしまうと、その後の仕事がはかどるんですよ。自分のためにはじめたことなんですが。結果的に喜ばれているなら、よかったです。

大石副所長:年をとれば目が早く覚めますからね(笑)。それは冗談として。私のモットーは「現場に笑いを」なんです。面白い現場、作業員同士が仲のいい現場はうまくいく。各自プライベートな時間も大事にしながらも、現場では明るい雰囲気を作っていきたいですね。

永盛所長:従来のやり方では、人材確保が難しくなり、近い将来、建設現場は立ちいかなくなるのは確かです。「エンジの作業現場は良い」と、優秀な職人さんたちが集まってくれると、我々も助かります。ですから、今後も"働く人ファースト"で前向きに業務を見直していきたいですね。新しいチャレンジにも恐れず取り組んでいくことが必要だと思っています。

編集部:ありがとうございました。

【(仮称)印西ロジティクスセンター新築工事 現場概要】

千葉県印西市の国道16号線近くに位置する、鉄骨造地上5階の大型物流倉庫。

建設地  :千葉県印西市松崎台

主要用途 :物流センター

工期   :2017年1月4日~2018年3月31日

規模構造 :鉄骨造5階建

敷地面積 :約54,600㎡(約16,500坪)

延床面積 :約111,500㎡(約33,700坪)

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