「鋼×想=力」特集
ベテラン営業マンが語る「スタンパッケージ」とシステム建築の未来

2019年5月9日

ご安全に!

4月某日、当社システム建築に携わるベテラン営業マンと若手社員による勉強会を開催しました。長年「スタンパッケージ」の販売に携わっていただいている施工店の方々にもご参加いただき、システム建築「スタンパッケージ」の特長や魅力、営業の苦労話、お客様に喜ばれた成功談などもご披露いただきました。さらに、営業マンの心得、システム建築の未来まで、じっくり語り合った勉強会の模様をレポートします。

06.jpg

写真キャプション/

[語り手]左から、有馬成功(日鉄エンジニアリング/建築・鋼構造事業部 建築営業部 システム建築営業室 シニアマネジャー)、滝田 敦 様(藤井産業株式会社 常務取締役 建設システム部門統括役員) 

※以下、敬称略とさせていただきます

独自開発で進化し続けてきた「スタンパッケージ」

1972年に日本で初めて自社独自開発の部材として販売を開始した「スタンパッケージ」。その後、バージョンアップを重ねながら、1万棟にのぼる実績を積み上げ、お客様にご愛顧いただいてきました。同商品は、まもなく50周年を迎えます。

編集部:有馬さんは、昭和50年に入社後、システム建築一筋で営業畑を歩んでこられました。その間、システム建築がどのように進化してきたのか、ご紹介いただけますか。

有馬:もともとは昭和30年代、新日鉄(現・日本製鉄)が、鋼材(H形鋼)に付加価値をつけて鉄を拡販していこうということからシステム建築の開発がスタートしました。

編集部:最初(昭和40年代初め)に鉄骨加工製品の「スタンフレーム」があり、その後、独自の外装材を追加した「スタンパッケージ」(昭和47年発売)に至る経緯ですね。これらは日本のシステム建築の先駆けだったそうですね。

有馬:ええ。日本オリジナルの商品ということでは当社のシステム建築が先駆けといえます。お客様のご要望に沿った独自部材の自社開発からスタートしました。設計・製作・施工といった建築の生産プロセス全体の効率性を考慮した完成度の高いエンジニアリング商品を目指した点も特長です。

「スタンフレーム」から派生した「スタンパッケージ」は、V3〜V5とバージョンアップしていき、バブル崩壊もリーマンショックも乗り超えて今に至っています。50年近く、独自技術を生かしたシステム建築をご提供し続けてきた。このことは誇っていいと思いますね。

編集部:長年培ってきた高い鋼構造技術とエンジニアリング力が強みとなって、当社のシステム建築が成長してきたわけですね。確か、平成初期には、オフィス・ショップ(店舗)・スクール(仮設校舎)など、商品ラインナップも豊富でした。そうした時代を経て、今があると。

有馬:ええ。やはり技術力を磨いて新しいものを生み出すには、力を集約させることも必要です。現在はその技術が「スタンパッケージR」(2012年発売)と「NSスタンロジ」(2016年発売の2階建物流施設向け商品)へと受け継がれています。

パートナー企業の施工力、盤石な協業体制も強み

編集部:ところで、藤井産業様は、当社のパートナー企業、スタンパッケージ施工店として、長いおつきあいがあります。滝田様にとって、スタンパッケージとはどのような商品でしょう。

滝田:藤井産業の滝田です。私はもともと鋼構造の技術畑出身ですが、バブル期の終わりにスタンパッケージの営業を担当することになり、御社の営業マンである有馬さんと出会いました。以来、お付き合いはかれこれ30年近くになります。当時はバブル崩壊で仕事の少ない時期で苦労しましたね。

しかし当時から、構造設計込みのスタンパッケージは、他社のシステム建築システムとは一線を画すものでした。V4(平成3年発売)に採用された「パックF(円形基礎)」が登場したときには、これは画期的だ!と驚いたものです。今なお、改良を重ねながら主力部材として確たる競争力があります。

スタンパッケージの魅力は、何といっても高い技術力(鋼構造設計力)にあると思っています。そして「日本製鉄グループ」というブランド力です。鉄鋼メーカーを母体とし鉄骨造建築に特化しているという信頼感がありますので、お客様にも説明しやすいですし、安心して薦められます。

有馬:ありがとうございます。販売の面では、全国のパートナー施工店様の施工力や営業努力に日々支えられています。我々のシステム建築商品は、営業マンや現場の方に「施工し易いな」「お客様に自信をもってお薦めできる商品だな」と思っていただけるものでなくてはいけません。そのためにも、当社はメーカーとして商品力を磨き続けることが重要な役割になります。

滝田:はい。今後もさらなる商品力の向上を強くお願いしたいです。

技術力+人間力で信頼を勝ち取ってきた

編集部:長年、営業マンとして、スタンパッケージに関わってきたお二人に、印象に残っている案件を教えていただきたいのですが。

滝田:はい。1つは、パックF(円形基礎)が登場したばかりのころに担当した案件です。顧客企業の会長様が(スタンパッケージを採用した)建築現場を見学に来て、「こんな鉄筋の少ない基礎なんて、手を抜いているんじゃないか!」と、お怒りになったことがあったのです。我々もどうしたらいいか、驚いてしまって。そのとき、対応してくださったのが有馬さんでした。

有馬さんは、新日鉄(当時)の名刺を出して、怒鳴り込んできた会長様に、パックFを詳しく説明されました。その説明に会長様は「よかった、よかった」とご安心・ご納得された。新日鉄ブランドの信頼感と、有馬さんのご説明に助けられました。

有馬:そんなこともありましたね。私からは、当社と藤井産業様と協働して30年来担当している事例をご紹介しましょう。これまでに6棟の倉庫をご発注いただいているお客様です。30年もの間、当社のスタンパッケージひと筋。一度も他社から見積を取ることがなく、お取引が続いています。通常では考えられないことですが、社長様がスタンパッケージを信頼してくださっていることが非常に大きいのです。その分評価も厳しいですが、ありがたいですね。

編集部:どうしてそんなに長い間、お客様と信頼関係を築いて来られたのですか?

滝田:顧客企業の社長様は、もともとエンジニアで、建設中もご自身で細かいところまでチェックされます。よく質問を受けますし要求もとても厳しい。それに対して、我々も出来ないときは「出来ません」と、ごまかさずに正直に向き合ってきました。技術力があるのは当たり前です。その上で全てにおいて裏がない。そうした姿勢・関係性が、長年のお取引につながっていると思います。

有馬:同感です。結局は、親切・丁寧・真面目にやる・嘘をつかないことです。それに尽きると思いますね。

編集部:ありがとうございます。スタンパッケージに歴史あり、ベテラン営業マンに歴史ありですね。

19.jpg

営業の原点は、商品に惚れ込み、人に惚れ込むこと

編集部:ここからは、若手営業マンの皆さんにも参加いただきます。営業マンとして何を大事にしてきたか。若手にアドバイスや御指南をいただけますか? 

有馬: 私が一番大事にしてきたことは、自分が商品に惚れること、商品を本気で好きになることですね。そうなって初めて、お客様に自信を持ってお薦めできる。でないと対等には渡り合えません。

若手の皆さんには、お客様の御用聞きになるのではなくて、高いレベルでお客様とやりとりできる力を付けて欲しいと思います。 そのためのポイントとして、若手のうちから積極的に人に会って、たくさん恥をかくことが大事ですね。お客様が何を考えているのか、たくさん会話をして実戦経験を積むことで、知恵がつき自分の財産になるのです。企業で最終決裁権限を持っている方は手強いですよ。人の心を動かすには、まず自分が商品に惚れ込むこと、そしてとにかく場数を踏んで人を見る目を養うことです。

滝田:建物はゼロから作り上げるもので、完成品が予め見えている訳ではありません。ですから営業マンとしての自分をいかに信用してもらうか、ということも非常に重要だと思いますね。会社を、自分を、そして商品を信じてもらうには、自分は建築のプロであるという強い自覚を持つことです。プロとしての商品知識はもちろんですが、態度や身だしなみも重要です。とにかく自分を磨き続けることが大切だと思います。

15.jpg

聞き手の若手営業マンたち 左から、神谷修一(日鉄エンジニアリング)、寺前春樹さん(日東工営株式会社 営業統括部 建築営業課)林 功祐さん(藤井産業株式会社 建設営業部 東京建設課 課長代理)、松坂碩益(日鉄エンジニアリング)

聞き手:日東工営の寺前です。 先ほど「商品に惚れろ」というお話がありました。有馬さんはスタンパッケージのどのようなところに惚れていますか?

有馬:やはり商品力ですね。営業から設計、部材調達、施工まで、一連の流れの中でお客様のご要望にお応えするという、システム建築でありながら柔軟性がある商品力。加えて、施工店さんとの仲間意識・本気の付き合い、切磋琢磨しながら組織を大事にするという点も。私は、人にも惚れています。こうした組織力が我々の大きな強みです。

人材不足に対応、IOTやAIの活用でさらなる進化を

聞き手:日鉄エンジニアリングの神谷修一です。これまでの商品シリーズで特に思い入れのある商品は何でしょうか? また今後、スタンパッケージの未来はどうなっていくのか。目指すべき方向性などについてもご意見を聞かせてください。

有馬:長い歴史の中で、店舗(スタンショップ)や仮設校舎(スタンスクール)など数々の独自商品を生み出してきました。その時々で商品開発に携われた方々のエネルギーはすごいなあと思いますね。ただ、やはり現在の「スタンパッケージR」「NSスタンロジ」が最も完成度が高く、競争力ある商品だと思います。工場・倉庫・事務所など幅広い用途で、高品質の建物をより早く、納得のいく価格でご提供できると考えています。

スタンパッケージの未来ですが、これからは労働環境や人手不足にも配慮して、施工面からより進化した商品にバージョンアップしていくのがポイントだと思っています。

滝田:私もそう思いますね。単体の建築部材・鉄骨技術などは成熟域に入っていますから、これからはIOTやAIを導入して日本全体の課題である人材不足をどう補うかが大事になってきますよね。具体的には無足場工法にするとか、ロボットで屋根や壁を施工できないかなど。ぜひ日鉄エンジニアリングさんには、その分野にチャレンジしていただきたい。期待しています。

一方、施工店としての課題は「システム建築を社業の核にするのだ」という強い意志を持って、若い人材をいかに育成していくかということです。社員教育も大事だと思っています。

有馬:ありがとうございます。商品を提供するメーカーの立場としては、スタンパッケージを愛してくれる施工店さんを一社でも多く増やしていきたいですね。社員教育の話が出ましたが、施工管理者不足が課題となる中、誰が現場を担当しても高品質の建物を提供できるように、現場管理者の方の教育なども、一緒にやっていけたらと思っています。技術開発についても、施工店さんからもノウハウをいただいて、今まで以上にパートナー関係を密にしていきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

聞き手:日鉄エンジニアリングの松坂です。今回は、ベテランお二人から臨場感あるアドバイスを伺うことができて感無量です。「商品に惚れる」という観点を自分に落とし込んでみると、まだまだと感じました。誠心誠意の心意気を忘れず、時には恥をかきながら一人の営業マンとして成長していきたい所存です。自身の「営業」を見つめ直すいい機会になりました。ありがとうございました。

聞き手:藤井産業の林です。営業の原点として、顧客との信頼関係の樹立が重要なこと、そのためにいかに自身が商品に惚れ込み、商品を好きになるか、そして建築のプロであるという強い自覚・自信をもつことで信頼を勝ち取ることが出来るということを、経験談を交えながら伺うことができ、大変勉強になりました。

次世代のスタンパッケージを担う立場として、お二人を始め、ベテランの方々が築き上げてきたものを、より良い方向へ向けるにはどうしたらよいか、若手意見交換会の活動などを通し、検討・提案などをしてまいりたいと思います。今回はこのような機会を設けていただきありがとうございました。

編集部:皆様、本日はお忙しいところ貴重なお話をありがとうございました。

10.jpg

profile●有馬成功 昭和50年新日本製鉄(現:日本製鉄)入社。システム建築営業歴35年のベテラン営業マン。「最後までやり抜く」を信条とし、人間力で後輩たちに慕われている。

05.jpg

profile●滝田 敦 様 昭和56年藤井産業株式会社入社。平成4年よりスタンパッケージの営業に携わる。趣味は「お酒」。

Page Top