Career path

Project
自治体の入札案件に向け、
勝てる提案書を作成せよ
ある自治体の入札案件に岸がアサインされたのは、汚泥資源化営業部に異動した直後。入札まで2カ月というタイミングだった。自治体が求めているのは「下水汚泥をバイオマス燃料化するリサイクルシステム」。当社は代表企業として日本有数の水処理プラント企業をパートナーに迎えてJVを組成し、この入札に挑もうとしていた。岸が任されたのは、自治体に提出する提案書の取りまとめだ。お客様にとってどのような提案が魅力的なのか、競合先との差別化をどう図るかなど、プロジェクトマネジャーや設計と打ち合わせをしながら形にし、同時にパートナー企業からも有効な提案が引き出せるよう議論を重ねる日々が始まった。岸は自社商品の「下水汚泥固形燃料化システム」の知識すらままならない中、自分なりに工夫して議論を進め、メンバー全員が納得のゆく提案内容へとブラッシュアップしていく。しかし、社内の技術部門がまとめた提案書の素案を読んだ時、溜飲が下がらないのと同時にある想いが生じた。
「最初は、私には技術的な知見がないことが、アピールポイントが掴めない原因だと思ったんです。でも、よく考えたらそうではないなと。提案は、お客様に伝わるのかが最優先。共通言語の多い社内の人間に伝わらないのなら、それは改善しなければならないんです」
その後、岸は、「何がアピールポイントなのか」「それをお客様はどう受け取るのか」を、技術部門をはじめ関係各所から深く聞き出し、自分が納得できる文章に推敲していった。「それまで私はメンバーの意見を取りまとめるだけだなと感じて悶々としていたんです。これを機に営業としてやるべきことが明確になりました」
結果としてこの入札は失敗に終わった。しかし岸は今、このプロジェクトを通して学んだ営業の本質を胸に留めながら、日本全国の自治体へ「伝わるアプローチ」を戦略的に行なっている。

Lesson
多くのステークスホルダーと
気持ちを一つにするために
当プロジェクトの定例会をスタートさせた当初、岸は苦悩していた。それは、パートナー企業のメンバーも含めたプロジェクトメンバー全員がどうしたら一つのチームとして一体となって、意見を出し合えるようになれるか。
「定例会に出席する当社の中心メンバーは、プロジェクトマネジャー、サブプロジェクトマネジャー、設計担当の3人、営業からは私と上司の2人。一方、パートナー企業は、機械、電気、維持・管理など業務別に担当者がいて、さらに営業も2〜3人いて大所帯。しかも、それぞれが持つ知識も興味も考えも違っていました。そのため最初は定例会でなかなか意見が出てこないこともあってうまく議論が進まず頭を抱えました」
悩んでいても何も進まない。そう考えた岸は上司やパートナーからのアドバイスを受けながら思いつく限りの工夫を重ねた。例えば、「競合他社がこういう提案をしてきたら、当社は勝てるか勝てないか」といった具体的なテーマを掲げて、ブレーンストーミングの時間を設ける。ある時は、いつものメンバーではない人に参加してもらって議論に刺激を与える。・・・次第に定例会での議論は熱を帯びるようになり、また、「こういうことを考えているが、どう思うか?」などとメンバーからの提案も活発になってきた。
「メンバー全員で意見を出し合って、提案内容に反映していくんだという雰囲気が生まれてきた時は、営業としてようやくスタート地点に立てたと思えました」
プラントエンジニアリングの仕事は、チームで行う仕事とよく言われる。しかし、ステークホルダーが多くなればなるほど、気持ちを一つにして、時には議論をぶつけ合いながら、良い提案を生み出すことは難しくなる。岸はそう痛感した。しかし、その一方で、本当の意味での面白さも知った。
「自分の働きかけ次第でチームが一つになり、全員のモチベーションが高まり、より良いものが出来上がっていく。その醍醐味を味わうことができました」

Profile
営業本部 汚泥資源化営業部 営業室
2015年入社
経営学部経営学科卒