Career path
Project
高輪ゲートウェイ駅プロジェクトの
主担当に抜擢
高輪ゲートウェイ駅プロジェクトにアサインされたのは入社2年目のことだった。最初は社内外で注目される大規模プロジェクトに携われることに喜びを感じた松本だったが、次第に不安が膨らんできたという。
「これまではプロジェクトマネジャーとマネジャーがいて、その下に若手の私がつくという体制だったのですが、この時はプロジェクトマネジャーの下で、私が主担当を任されることになったのです。世間的な認知度も高く複雑な案件だったため、徐々に嬉しさよりも自分に全うできるのか、という不安の方が大きくなりました」
最大の試練は、鉄骨の図面を作図する工程だった。
「難しかったのは、お客様、設計者から、膜、照明、ガラス壁等の鉄骨製作に関わる様々な業者を含む数多くの関係者をまとめていかなければならなかったこと。複雑な鉄骨の納まりを考慮することに加え、関係者それぞれが求める条件や要望を確認して、それらすべてを整理した上で図面を作成していくのは並大抵ではありませんでした」
さらに、これだけの関係者が集まれば、当然想定しない事態や進捗の遅れも少しずつ出てくる。
「些細な遅れが後のプロセスにつながり、負の連鎖となります。遠慮などしている場合ではないので、嫌われ者になる覚悟を決めて仕事に挑みました」
松本は早やる気持ちを抑えながら「この仕事を〇〇までにお願いします」と、期日の周知を徹底し、定例会議においても進捗を関係者に細かく確認。一つひとつの課題をクリアしてくための基本的な作業をしつこく行っていった。図面が完成するまで1年を要したが、着工後、このやり方が間違いでなかったことが証明された。
「いざ現場管理が始まると驚くほど何事もなく施工が進みました。図面がしっかりしていたため、不具合がほぼなかったことがその要因。図面の重要性を再認識できました」
プロジェクトをやり遂げた時、プロジェクトマネジャーからもらったのは、「松本でなければできなかったな」との言葉。「実は私を成長させるためにアサインしたのだとも明かされました」。松本はその期待に見事に応えた。
Lesson
愛を持って仕事をしろ
それまで施工管理を中心に担当していた松本にとって、当プロジェクトは図面作図から参加する初めての案件。わからないことばかりの中、松本の指針となったのは、大先輩から入社当初からずっと言われ続けていた「愛を持って仕事をしろ」という言葉だった。
「わからないことをそのままにしていては、プロジェクトは進みません。そこで社内外問わず、相手の意図や懸念事項を把握できるまで、また、こちらの内容が伝わるまで幾度なく話し、様々な問題に真摯に対応しました。それが自分にとって愛を持って仕事をするということでした」
松本が愛を持って仕事に臨み、相手にも思いやりを持って対応していくと、皆が思いやりを持って返してくれる。そうした中で、自分の知識が着実に積み上がり、同時にプロジェクトが良い方向に進んでいくことが実感できた。とはいえ、プロジェクトに取り組んでいる最中は、本当にこのやり方が正しいのか、不安に思うことは多々あった。しかし、現場施工がスムーズに進み、お客様から高評価を得るに至り、「このやり方で間違ってなかった」と確信できた。
当プロジェクトの次に担当したプロジェクトの現場では、予期せぬトラブルが多発したが、そんな中でも松本は前向きに一つひとつのトラブルを解決し、都度、お客様に進捗を細かく報告するなど、最大限、真摯に対応し続けた。
「ご迷惑をかけてしまったので、このプロジェクトのお客様の評価は低いだろうと覚悟していましたが、工事完了後のお客様からの評価が予想外に高く、驚きました」
松本の真摯な仕事ぶりが、関係者たちのモチベーションに良い影響を与え、その結果、プロジェクト全体として高いパフォーマンスを発揮できたのだろう。
愛を持って仕事に取り組むこと。それは今も松本の仕事の軸になっている。
Profile
建築本部 プロジェクト部 鉄構工事室
2015年入社
工学研究科建築学科修了