いつかこの手で具現化したい
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中島は入社以来、製鉄プラント畑を歩んできた。中でも、建材や自動車用鋼板等を量産する際に欠かせない設備となる“圧延機”の開発業務に取り組んできた。
「ミッションは、当社の技術力と業界におけるプレゼンスを高めること。そのために、これまでにない性能の圧延プロセスの実現を自分の技術テーマとして、その開発に挑んできました」
当然、現在日鉄エンジニアリングが扱っている設備や、そこで蓄積された技術・知見だけに依拠していては、革新的な開発を推し進めることはできない。中島は、開発業務を進めるかたわら、精力的に、海外を含めた技術紙や論文を渉猟し、国内外で開催される学会にも積極的に参加した。そして入社2年目。中島はある学会で、自分のエンジニア人生を賭けるに値する、あるキーワードに出会う。「コンパクトミル」だ。
「現在の製鉄プロセスは、半世紀以上かけて完成されたもの。その過程が大きく変わることはないと思っていました。ところが、学会で手にした論文の中で見つけたコンパクトミルは、従来の常識を覆すものだったのです。それは、圧延ラインとその前工程の連鋳ラインを一つにまとめて1000mを超えるライン長を300m程度にコンパクトにするというもの。これが実現すれば、工場の省スペース化からメンテンナンスコスト低減、人件費低減まで、従来と桁違いに大きなメリットが生み出せます」
その革新性に感銘を受けた中島の心の覚悟は、この時決まった。
「コンパクトミルの実績は欧米では多数報告があるが、日本ではそのような実績はありません。いつの日か、コンパクトミルのように、圧延プロセスを一新してしまうような新設備を設計し、未来の圧延設備・圧延ラインの姿を変えていきたいです」
現在は実際のプロジェクトにアサインされているため開発業務を離れているが、常に中島は、圧延プラントの未来に想いを馳せている。そして、いつか来るであろう自身の志を具現化する機会を眈々と伺っている。

設備の理想型を追求する
EPISODE
エピソード


中島にとってそれは設計担当者として初めて手がける圧延プラントプロジェクトだった。
「お客様が求めているのは、生産能力向上を目的とする設備改造。既存のスペースでも設備同士の干渉が厳しい環境にさらに能力向上を目的に設備を大きくするため、生産能力向上だけでも難題ですが、設備の理想形を追求し具現化するという当社独自の目標も加わったため、プロジェクトの難度は格段に高まりました」
しかし、そんな困難を前にしても、新しいプロジェクトに提案段階から参画できる喜びに、中島は胸を躍らせていた。中島が競合他社に勝つべく提案に盛り込んだのは、生産能力向上と同時に、メンテナンスコストの大幅な低減を可能とする新構造設備の実現だ。
「新構造ということもあり前例はなく、設計理念や検討方法もすべてゼロからのスタート。そのため社内の圧延に関する有識者を招集しての会議、各メーカーへのヒアリングと各種検討を繰り返しながら、お客様に提示するプランを練り上げていきました」
しかし、最初の反応は懐疑的なものだった。「計算上は可能なのかもしれないが、本当に実現できるのか?本当にコストダウンにつながるのか?」前例のないものの提案となれば、お客様が慎重になるのも当然である。であれば、懸念点をすべて引き出し、一つひとつ解消していけば良い・・・中島は努めてポジティブに考え、相手と密に議論を交わしながら、粘り強く提案を継続していった。それから、お客様が前のめりで中島の説明を聞いてくれるようになるまで、時間はかからなかった。
「プロジェクトの実現可能性と技術的な裏付けの確かさをご理解いただけた手応えを感じられた時は、それまでの努力が報われた気持ちになり、とにかく嬉しかったです」
最終的に、お客様の要望を満たすのはもちろん、既設備内において1mmの寸法変更も許さない形状を有する、理想形を追求した新圧延機を提案。結果として、受注を勝ち取った。来年、お客様と日鉄エンジニアリングの理想を追求した前例のない設備が稼働する。それは中島の理想が形になることと同義である。
Q&A
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会社のPRポイント
メッセージ

連鋳・圧延プラントエンジニアリング室
2017年入社
システム統合工学専攻材料設計工学コース修了