巨大な構造物をつくり出す技術者に
STORIES
ストーリーズ


「入社後、研修で訪れたタイで見学した、石油掘削の海洋プラットフォームの基礎となるジャケット構造物の製作現場で受けた感動が忘れられません」
田邊にとっては、海外のものづくりの現場へ行くのはもちろん、巨大な構造物を目の前にするのもこれが初めてだった。
「写真で見たことは何度もありましたが、その大きさは想像を超えていました。また、膨大な部品が複雑に組み合わさる圧倒的な緻密さや、関わる人の多さにも驚きました」
この時、田邊の中に設計だけでなく、製作・施工まで高い技術レベルで熟知する技術者となって、巨大な構造物を自らつくり出したいという目標が生まれた。そもそも田邊が土木系の学部に進学したのは、東日本大震災を伝えるニュースで、人々の暮らしを支える様々な構造物が壊れていく様を観てショックを受けたことがきっかけだった。「人々の暮らしに豊かさや安心をもたらすような構造物づくりに携わりたい」「自然災害の被害を減らすことに貢献したい」・・・その時芽生えた想いは、日鉄エンジニアリングに入社し、海洋開発を支える構造物の設計に携わる今も、変わらずに田邊の胸にある。
「自分たちの仕事が人々の暮らしに寄与していくと再認識したのはコロナ禍。モノの動きの停滞が社会に及す影響を目の当たりにして、物流の重要性を改めて実感しました。当社では、港で荷役を行うためのコンテナバースなど、物流インフラとなる構造物をいくつも扱っています。それらが、自然災害はもちろん、いかなる緊急時にも機能し続ける設計を追求していきたいです」
田邊は今、様々な構造物の設計・製作・施工を経験してきた多くの先輩技術者たちから、技術・知見をどん欲に吸収している。
「日鉄エンジニアリングでできることに制約はありません。そして、それらすべてに社会貢献性があります。研鑽した技術が、社会に還元されていく・・・こんな嬉しいことはありません」

日鉄エンジニアリング流
EPISODE
エピソード


田邊が設計技術者として、初めてジャケット式桟橋の細部検討を担当することになったのは入社2年目。かねてから設計だけでなく製作・施工までをカバーできるような、守備範囲の広い技術者を目指していた田邊は、実際の製作・施工に向けたこの業務に没頭していた。
「使用する部材の詳細サイズの検討を行っていたのですが、初めての細部検討だったこともあり、過去の事例を参考にしすぎてしまったのです。正確さを求め、良かれと思ってやったことではありましたが、そこに主体性はなく、さらに言うと、ちょっとした『やり切った感』もありました。しかし、それがすぐに甘い考えであることを思い知りました」
仕上げた設計図面を上司にチェックしてもらった際、「なぜ、ここの部材はこの厚さにしたの?」との問いに「過去案件で使っていたので」と安易に即答したのも、その考えの甘さゆえだ。上司からは「その説明でお客様は納得しない。ちゃんと強度計算をしているのだから、それを根拠として示すべき」と、一言。さらに、「毎回条件が異なるので、検討する項目も異なる。前例を踏襲するのではなく、検討材料になりうるあらゆる項目を考えて検討するのが我々の仕事」と指摘を受け、田邊はハッと胸をつかれた。自分はやるべきことをすべてやっているのか?と自問自答しつつ、「案件一つひとつの特徴を見極めて、真摯に設計に向き合わなければ、信用なんてされないし、そうやって先輩たちはお客様から信頼を得てきたんだ」という結論にたどり着いた。その後、田邊は細部に至るまで、その設計の根拠を突き詰めるようになる。
「例えば、部材同士の間隔を決める時は、製作時の溶接における作業効率にどう影響するのかまでも想定。経験が浅いことによる現場の具体的なイメージが描けないビハインドは、様々な方への積極的なヒアリングでカバーしていきました。こうした多角的な視野や積極性は、上司から得たアプローチです」
図面上だけでなく、実際のものづくりのダイナミズムを帯びてこそ、設計の面白さは増す。田邊は自らが目指すオールラウンドな技術者への一歩を、上司の後押しを得ながら着実に踏み出した。
Q&A
仕事の魅力
苦労すること
会社のPRポイント
メッセージ

2019年入社
工学研究科都市系専攻修了