PROJECT 01

マルチユース型産業施設
建設プロジェクト

Multi use industrial facility construction project

Project Member

檜垣
都市インフラセクター
設計技術部 建築設計室

星野
都市インフラセクター
建築営業部 建築営業室

岩貞
都市インフラセクター
建築営業部 建築営業室

Project Phase 01
羽田空港の目と鼻の先に、
前例のない物流施設を

受注は2015年8月。首都高速1号羽田線の羽田ICほど近くに「物流機能を有した産業拠点を建設する」が今回のプロジェクトだ。建物は延床面積約81,000㎡の鉄骨造5階建てで、立地、規模、コンセプト、そしてなによりクライアントの熱い想いを考えれば非常に難易度の高い案件になることが容易に想像できた。
結果として、物流施設のほかオフィス、研修所、区が運営する産業支援施設までもが入居した。ここまで多様性に富んだこの類の施設は、国内にはまず見当たらない。

Project Phase 02
なんとか着工まで
たどり着いた、はずだった

2016年11月30日。設計の檜垣は、1年以上にわたる自らの仕事にひとまずの安堵を覚えていた。
というのも、本プロジェクトの設計がほぼ終了し、つい今しがた社長決裁がおりたためだ。着工はこれからだが、やはり設計者としては着工前までに果たす役割が大きい。予算が限られたなか、いくつかの先方ニーズにも確実に対応して設計に落とし込むことができ、大きな充足感を味わっていた。
営業として携わった星野も、クライアント側の「このプロジェクトにかける熱意」をひしひしと感じていた。日本における物流の超一等地に構えようとしている前例のない複合産業施設。

Project Phase 03
次なる時代の産業施設を
目指しての設計変更

なんとこのタイミングで、クライアントから大幅な設計変更要望の連絡が入ったのだ。
「耐震構造から免震構造にしたい。そして大規模な事務所テナントの誘致を見据え大胆に拡張性を持たせたい。」との連絡があったのだ。
檜垣はショックの色を隠せない。なぜかといえば、免震構造と耐震構造の設計はそもそものベースが異なっており、加えてコストダウンの観点からプランも根本的に見直すことを求められたため、この変更はイチ、いや、ゼロからの設計やり直しを意味するからだ。ただ、立ち止まっていても何も始まらない。檜垣はここで柔軟に、かつ冷静に舵を切ってみせた。これまでの設計で活かせるものは活かし、極力要望に応えられるよう努力した。
一方で星野も、工事スコープの見直しによる予算捻出や設計変更における膨大な項目の見える化などを行いながら客先と折衝を重ねた。また、社内では設計の檜垣らと徹底的に会話することで、お互いの理解を促した。これには檜垣も「お互い違う視点で物事を見られるのでバランス力が高まった」と好感を抱いた。
大きなピンチが続いたことで、檜垣、星野を中心にチームの結束力がさらに向上した。そしてこのチームは、検討開始から2年8か月の時間を経て、2018年3月、ようやく「着工」を手にしたのだった。

Project Phase 04
着工後の度重なる修正要望に
“新人”抜擢

ここで営業として抜擢されたのが入社5年目となる岩貞だ。彼女に任されたタスクは、入居するテナント企業との直接交渉。その企業の用途や特色によって設計を微修正していくための交渉だ。
このプロジェクトは営業に着任して初めての担当案件で、これまではほとんど財務関係の仕事。加えて、同時並行で相手にする企業は計7社。“新人”岩貞にとっては過酷な条件が揃ってしまった。ところが、彼女は萎縮するどころか、むしろこの状況を楽しんだ。岩貞は南米留学の経験もある行動派で、持ち前の明るく活発な気質は、困難に立ち向かうのに大いにプラスになった。ときには先輩やまわりの仲間のサポートを受けながら、なんとか着実に、仕事を前に進めていった。のちに彼女は、当時のことを次のように語っている。「バタバタと慌ただしく仕事をする私を横目に、ギリギリまで高い品質を求めて仕事をする檜垣さんのプロフェッショナルな姿勢を見る度に刺激を受けていました」
途中、エレベーターの追加や全面ガラス張りの窓の採用、デザイン性の高い外壁など、檜垣の頭を悩ませるほどの変更が多々あったものの、課題を一つ一つクリアし、プロジェクトを推し進めた。そして竣工を前に、テナントは見事満床になっていた。

Project Phase 05
大きなやりがいと
未来への可能性を実感

2019年6月末、無事竣工。
檜垣、星野、岩貞の3人は、プロジェクトの大変さがあったからこその充実感、達成感を揃って口にしている。「このプロジェクトを担当できたこと自体が幸せ」と語るのは檜垣。「家族に自慢できる」と星野も同調した。岩貞は「直接やりとりしていたテナント企業の担当者から喜びの声をもらえたことが嬉しかった」と、営業職ならではの感情をかみしめていた。
付け足すようにして営業の星野、岩貞が話すのは、このプロジェクトを経験したことによる今後の可能性だ。シンプルな物流施設ではない「マルチユース型複合施設」を完成させた実績は、今後の営業の幅を何倍にも広げてくれる。また今回、外壁のデザインにも携わった檜垣は「機会があればもう一度コンピューテーショナルデザインのデザイン手法を駆使した設計に挑戦してみたい」と語る。
大きな困難をチームで乗り越えた経験は、大きな可能性として、それぞれの未来に活きてゆくだろう。