PROJECT 02

海外廃棄物発電プラント
プロジェクト

Overseas waste to energy plant project.

Project Member

真名子
環境・エネルギーセクター
プロジェクト部 海外プロジェクト室

河本
環境・エネルギーセクター
海外環境・エネルギー営業部/営業室

Project Phase 01
台湾プロジェクトに
2つの「初」という壁

「海外プロジェクト」と言えば聞こえはいいが、その実態は常に多くの困難とともにある。2018年10月に受注した、台湾の桃園市における廃棄物発電プラントのプロジェクトに関してももちろん同様だ。
特にこのプロジェクトでは、2つの大きな「初」を乗り越える必要があった。環境ソリューション事業部として「初」の海外案件であること。そして、国内での主力商品である溶融炉ではなく、焼却炉としての「初」のプラントであることだ。プロジェクトを担当する者にとっては、いずれもが大きなプレッシャーとしてのしかかる。
但し、どんな困難も「成長のチャンス」「むしろワクワクする」と前向きに捉える類の人間が多い日鉄エンジニアリング。今回、案件の受注に尽力した営業の河本、現在の実行業務を支えるプロジェクトマネジャーの真名子は、いずれもそんなポジティブ思考の持ち主だ。2人は随分と苦労した話を、楽しい思い出話でも語るかのように振り返った。

Project Phase 02
受注の決め手は
世界最高水準の
“Technology”

受注前、本プロジェクトの話が持ち上がってからは、複数の競合他社とのグローバルな受注合戦が繰り広げられた。当然、受注するためには何らかの部分で他社よりも優れている事を示す必要がある。そこで、営業の河本が武器として強く掲げたのは「技術力」だった。
ポイントは2つ。1つは発電効率の高さだ。日鉄エンジニアリングは、世界最高水準の発電効率を誇る廃棄物発電プラントを実績として有している。もう1つは、プラントの排ガス処理性能の高さ。こちらも同じく実績があり、もちろん台湾の厳しい排ガス規制値のクリアも可能だ。
通常、入札に際して大きな評価ポイントとなるのはまず価格だ。価格を下げれば、当然発注者も選びたいと思うもの。しかし、河本は「ただ安く売るだけなら、素人でもできる」と一刀両断。いくら低価格であっても品質が悪く、要求される性能を満足できなかったら意味がない。だからこそ、先方が満足できる高い技術力を提供しそれに見合った対価を得る、まさにWin-Winの提案を作り上げる事を目指したのだ。
結果として、日鉄エンジニアリングの提案が高く評価され受注につながった。河本の信念が導いた受注と言っても過言ではない。

Project Phase 03
“Face to Face”ですれ違う
「常識」を解決

プロジェクト始動後、現地のパートナー会社と設計のやり取りが始まる。今回は、パートナー会社と業務を分担して行うプロジェクトであり、パートナーとのやり取りの結果がプロジェクトの成否に大きく影響する。設計開始当初、設計資料や図面等をお互いに作成し確認し合う中で、先方から「必要な情報が不足した箇所が散見される」との連絡が入った。
真名子が現状確認を急ぐと、当社作成の設計資料には「抜け」があるようには思えない。違和感を覚えた真名子は、先方との緊急会議を行うため、主要設計メンバーとともに台湾へ。そこで発覚したのが、お互いの資料やデータ作成における「常識」のズレだった。
例えば、パートナー会社が資料Aの中に求める情報は、当社の場合は資料Bに含まれる情報である事がわかった。つまり、情報記載箇所のルールが異なる事で「抜け」があると認識されていたのだ。
プラントの設計においては、こういった認識のずれが後々の設計変更を引き起こし命取りになる。ここは、是が非でもお互いの「常識」を統一する必要があった。そこで、真名子が選んだのは「その都度直接話し合って決めていく」という、最もシンプルかつ確実な方法だった。電話やメールで解決できるようにも思えるが、設計資料は専門的な内容であり、設計者同士で直接会って話し合わないとお互いの理解度は半減だ。真名子は何か「抜け」が起こるたびに、設計メンバーと台湾へ飛んだ。台湾に訪れた回数はゆうに20回を超える。その甲斐もあり、1年ほどかけた設計はようやくひと段落を迎えた。真名子は「月並みだが」と前置きし「コミュニケーションの大切さを学んだ」と語る。

Project Phase 04
世界のごみ問題に
貢献していく

現在(2020時点)は、現地パートナー会社が担当する建設工事の段階にあり、当社の業務は設計した設備を製作して納入するフェーズに移っている。2021年末の竣工まで、まだ2つの「初」を乗り越える道半ばではあるが、日鉄エンジニアリングの2人は既に次のステップへと照準を定めている。
「次は他の国でのプロジェクトにも携わってみたい。また、いずれは今回現地パートナー会社が担当している業務も含め一括で請け負ったプロジェクトをやってみたいし、可能であればその先にある運転からメンテナンスまで引き受けたい」そう語る真名子の表情からは、充実感や達成感とともに若干の物足りなさも伝わってきた。

一方の河本は、更に大きな視野で未来を見据えていた。「世界のどの都市にもごみ問題はあり、都市のすぐ近くにごみの山ができている地域もある。我々のプラントは世界中のごみ問題に貢献できる技術なので、さらに広い地域に展開して行きたい」そして最後に2人は、高い目標があるからこそ“ONE TEAM”で進めて行く事の重要性を挙げた。河本は文系出身、真名子は理系出身。ともすると「文系は価格の事ばかり」「理系は設備の事ばかり」と、相容れない存在のように思われてしまいがちだ。しかし、例えばこのプロジェクトの受注前。河本は、真名子をはじめ社内の設計陣と繰り返し何度も議論を重ねた事で「設備品質を確保し、かつ適正な価格での提案」を可能にした。つまり、お互いの立場を尊重しつつ、一つのゴールに向かって歩み寄る”ONE TEAM”の姿勢が、受注につながることを体現したのだ。
そもそも、より良いものづくりを提供するという点でゴールは同じ。文系・理系に関係なく、全員が意見を戦わせながらブラッシュアップしていく過程こそが、この仕事の最大の醍醐味とも言えるのかもしれない。