ZEB・省エネ建物プランニング

ZEB・省エネ建物の設計実績

・建築設計 確認申請上の設計者としての実績(新築のみ)

2024年度(単位:棟)

受注
総数
ZEBシリーズ ZEBシリーズ以外
『ZEB』 Nearly
ZEB
ZEB
Ready
ZEB
Oriented
合計 ZEB水準 その他
新築 300m2未満 0 0 0 0 0 0 0 0
300m2以上
2,000m2未満
0 0 0 0 0 0 0 0
2,000m2以上
10,000m2未満
1 0 0 1 0 1 0 0
10,000m2以上 2 0 0 0 1 1 1 0

内訳)物流施設 ZEB Oriented 1件 (延床面積合計 40,219.72m2
   生産施設 ZEB Ready 1件 (延床面積合計   6,862.86m2
        ZEB 水準 1件 (延床面積合計 10,782.63m2

2023年度(単位:棟)

受注
総数
ZEBシリーズ ZEBシリーズ以外
『ZEB』 Nearly
ZEB
ZEB
Ready
ZEB
Oriented
合計 ZEB水準 その他
新築 300m2未満 0 0 0 0 0 0 0 0
300m2以上
2,000m2未満
1 0 0 0 0 0 0 1
2,000m2以上
10,000m2未満
4 0 0 0 0 0 0 4
10,000m2以上 2 0 0 2 0 2 0 0

内訳)物流施設 ZEB Ready 2件 (延床面積合計 157,428.88m2
   生産施設 non ZEB 5件 (延床面積合計 23,934.66m2

2022年度(単位:棟)

受注
総数
ZEBシリーズ ZEBシリーズ以外
『ZEB』 Nearly
ZEB
ZEB
Ready
ZEB
Oriented
合計 ZEB水準 その他
新築 300m2未満 0 0 0 0 0 0 0 0
300m2以上
2,000m2未満
0 0 0 0 0 0 0 0
2,000m2以上
10,000m2未満
5 0 0 1 0 1 0 4
10,000m2以上 4 0 0 2 0 2 2 0

2021年度(単位:棟)

受注
総数
ZEBシリーズ ZEBシリーズ以外
『ZEB』 Nearly
ZEB
ZEB
Ready
ZEB
Oriented
合計 ZEB水準 その他
新築 300m2未満 0 0 0 0 0 0 0 0
300m2以上
2,000m2未満
3 0 0 0 0 0 0 3
2,000m2以上
10,000m2未満
4 0 0 0 0 0 0 4
10,000m2以上 2 1 0 1 0 2 0 0

今後のZEB・省エネ建物プランニングへの取組方針

当社は、鉄鋼メーカー出身のエンジニアリング会社として、「価値ある建物を鋼×想=力で提案します」を標榜しており、物流施設と産業施設を中心にソリューションを提供しています。中でも物流については新型コロナ禍による生活形態の変化により社会ニーズは圧倒的に増しており大型物流施設の建設需要が拡大しています。よって、最も得意とする大型物流施設において「ZEB化設計標準化」を図り、オールZEB化することを目指しています。

また、大型物流施設には中規模オフィスビル規模の事務所部分が存在します。物流施設において比較的エネルギー密度が高いこの部分について、当社独自の地中熱ヒートポンプシステム、個別分散型デシカント空調システムなどを有効に活用し、事務所部分のZEB化を図り、物流施設のさらなる高性能ZEB化を目指します。 さらには、そこで活用した省エネ技術を適用し、物流施設以外の建物においてもZEB化を図ります。

以上により2025年度には当社が受注する設計業務のうちZEBが占める割合を50%以上とすることを目標としています。

ZEBプランニング実績

三井不動産ロジスティクスパーク横浜新子安/2024年度(竣工)

『ZEB』を取得するために、まずは創エネ設備を除いたベースビルの計算結果としてBEI設計値を0.5以下にする必要がありました。省エネ計算は、モデル建物法の複数用途集計で行い、計算の内訳としては、事務所モデルBEI:0.66、工場モデル:0.28であり、集計すると0.37という結果になりました。

事務所エリアで設置した省エネ計算対象機器としては、
・空調 ・照明 ・給湯器 ・エレベーター
倉庫エリアで設置した省エネ計算対象機器としては、
・照明
になります。

【建物全景】

【建物正面】

【採用した省エネ仕様】

■外皮性能

外壁に断熱鋼板パネル(断熱サンドイッチパネル)、屋根に鋼板折板二重葺き(断熱工法)を採用し、日射熱負荷の抑制により空調負荷を低減し、空調使用電力削減に寄与しています。

■LED照明

一般的なLED照明器具を採用することで、BEIの目標設計値の数字はクリア出来ています。より省エネを図るため、照明制御として、在室検知制御、昼光利用、タイムスケジュールを導入しています。

■高効率室外機の採用

事務所エリア、共用部に設置するエアコンの室外機に高効率型を採用しました。メーカーカタログにはさらに効率の良い超高効率室外機もありますが、省エネ計算上、高効率型でもZEBとなるBEI値を確保できたこと、超高効率型のコストアップが大きい割にそれに見合うBEI値の向上は望めないことから経済的にZEBを実現することを優先し、超高効率型ではなく高効率室外機を採用しています。さらに、事務所エリアの空調室外機を、屋上等に集約せずに、各階の事務所エリアに隣接する室外機置場に分散配置することで、建設時から運用時までのCO2発生抑制に寄与しています。

■電気温水器

シャワー室の給湯器はエコキュートを採用しています。

■グリーン電力の活用

屋上に2MWの太陽光発電パネルを設置し、発電される電力を100%自家消費しています。エネルギーマネージメントシステムや蓄電池を設置し、余剰発電分は蓄電池の充電に使用され、太陽光発電の出力が下がった際は、太陽光発電で充電した蓄電池を放電することにより、グリーン電力の積極的活用を行っています。

■ピークカット制御

使用電力量を常にモニタリングすることで、契約電力容量を超える予想となった場合に、空調運転能力のダウン、共用部の照明消灯等を図り、契約電力を超えないシステムを構築しています。

太陽光パネル

蓄電池

【省エネ、BELS評価結果】

上記機器の計画により、BEI値の計算結果は0.37になったため、あとは創エネの機器で計算値をゼロに出来る仕様の機器を設置すれば『ZEB』の取得を可能とすることが出来ます。本件では、創エネ設備である出力2.0MWの太陽光発電設備を設置することで、『ZEB』(Net Zero Energy Building)を取得しています。

BELS評価書としては、再エネあり(自家消費分)にてエネルギー消費量削減率100%、BEIm値0.00となり、エネルギー消費性能は★6という評価を得ています。

【省エネ性能ラベル】

山九横浜支店本牧物流センター新築工事(仮称)/2023年度(設計)

本件では、次項に示す省エネアイテムの導入することによりBEI≦0.5(創エネを除いたベースビル)とし、ZEB Reardyを達成させることができました。また、工事期間中に創エネ設備である太陽光発電設備を実装することで、『ZEB』(Net Zero Energy Building)の取得を目指します。

全体パース全体パース

【本建物の省エネ性能について(ベースビル)】

多くの物流施設の場合、事務所比率は5%前後となるのに対し、本件では10%を超えております。省エネ性能を評価する対象設備は事務所エリアに多くあるため、ZEB Reardyの達成が非常の厳しい建物となっていました。よって、事務所エリアの省エネ性能(空調、照明、給湯器など)をどれだけ向上させるかがZEB化の鍵となります。
また、事務所用途と倉庫用途の複合用途となっているため、建物の大部分を占めている倉庫エリアについても、照明設備の省エネ性能を向上させることでZEB化の近道となります。

【導入した省エネ設備について】

本件では、実用的かつ低コストの省エネ設備(以下に示す省エネ設備)を導入し、過剰な省エネ設備を導入することなく、ベースビルでZEB Reardyを達成しました。

導入した省エネ設備導入した省エネ設備

デシカント空調システムと超高効率空調機

デシカント外気処理機/除湿プロセス概念図デシカント外気処理機/除湿プロセス概念図

デシカント外気処理機における除湿は化学吸着で水分を取り除くので、空調室内機での過冷却除湿ほど電力を必要とせず、室内には余計な湿気を持ち込みません。そのため室内側では除湿をする必要がなく、温度調節分のみ室内空気を適度に冷やせばよいため消費電力が少なくて済みます。また、デシカント外気処理機はヒートポンプを内蔵しており吸湿したデシカント材の放湿(再生)にその排熱を利用できるため、優れた省エネ性能を持つ調湿換気システムとなっています。
さらに超高効率空調機を導入することにより、より一層消費電力の削減が実現できるため、さらなる省エネ性能の向上が図れます。

人感センサ付き照明と照明制御の導入

人感センサ付き照明
人感センサ付き照明

人やフォークリフトが通過する時のみ人感センサによって点滅制御を行うことで、照明の消し忘れなど無駄な点灯を削減し、省エネ性能の向上を図りました。また、タイムスケジュール制御を併用することで、任意の時刻になった際に消灯制御が行えるようにしたことで、さらなる消費電力の削減を実現します。

三井不動産ロジスティクスパーク海老名Ⅰ/2022年度(竣工)

建物全景建物全景
ZEB概要図ZEB概要図

ZEB概要図に示す省エネ設備および創エネ設備の導入により、「建物全体」のみならず、東面に長大な外皮を持つ厳しい建築条件の「事務所用途部分」においても、以下に述べるシステムを中心とした省エネアイテムを導入することにより『ZEB』(Net Zero Energy Building) のBELS認証を取得しました。

ZEB化設計/CO2排出削減量

ZEB化設計/CO2排出削減量

LED照明

LED照明/3DBIMシミュレーション
LED照明/3DBIMシミュレーション

高天井の事務所で机上700lxという厳しい設計条件であったため、3DBIMシミュレーションによる照度計算を行い、190lm/Wの照明器具を8灯/スパンとすることで、消費電力を3.11W/m2以下に抑えました。さらに、照明制御として、在室検知制御、昼光利用、タイムスケジュール、初期照度補正を導入しましした。以上により、建物全体の消費エネルギーの4割弱を占める照明消費電力を80%近く抑えることにより、建物全体の消費エネルギーを30%近く抑え、ZEB化に貢献しました。

地中熱ヒートポンプ

地中熱ヒートポンプ/変流量制御による電力低減の実測例
地中熱ヒートポンプ/変流量制御による電力低減の実測例

熱源水循環ポンプの搬送動力を大幅に低減するため、負荷熱量に応じた変流量制御システムを導入、これにより搬送動力を1/4程度に低減することを可能としています。さらに、事務所特有の冷房負荷過多に対応するため、地中温度変化に応じて冷却塔を発停制御する冷却塔併用ハイブリットシステムを導入、熱源水温度が外気温に近づくと効率が落ちるため、高効率運転維持可能な上下限温度内に熱源水温度が納まるように制御しています。以上の独自システムを採用し、地中熱ヒートポンプのさらなる省エネ性能向上を図っています。

デシカント空調システム

デシカント外気処理機/除湿プロセス
デシカント外気処理機/除湿プロセス

デシカント外気処理機における除湿は化学吸着で水分を取り除くので過冷却除湿ほど電力を必要とせず、室内には余計な湿気を持ち込みません。このため室内側では除湿をする必要がなく、温度調節分のみ室内空気を適度に冷やせばよいため消費電力が少なくて済みます。

デシカント外気処理機はヒートポンプを内蔵しており吸湿したデシカント材の放湿(再生)にその排熱を利用できます。また、全熱交換器を内蔵したハイブリッド型となっており、除湿負荷の少ない時期においてはさらに消費電力を抑えることができる優れた省エネ性能を持つ調湿換気システムとなっています。

地中熱ヒートポンプの効果と合わせて、建物全体の消費エネルギーの6割弱を占める空調消費電力を40%近く抑えることにより、建物全体の消費エネルギーを20%余り抑え、ZEB化に貢献しました。