港湾ジャケット設計の最適化プログラム

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ナレッジマネジメントと業務効率化、さらに営業力強化の“一石三鳥”

海洋本部の設計部門は、海洋構造物の設計技術を有しています。海洋構造物は環境や用途によって構造が異なり、部材の組み合わせも多様です。これまでは経験やノウハウを活かして設計してきましたが、知識の偏りや属人化のため設計者の力量にバラつきがありました。

そこで部材最適化のためのプログラム「OOGA」を開発し、自動で最適化することにより、設計者の負担を減らし、競争力のある構造物を提案することが可能になり営業競争力を高めました。

事例を知る

海洋構造物特有の複雑な設計は、これまで先輩方が蓄積した経験や設計データなどのノウハウを活かして設計してきました。しかし、設計者間の知識や力量の偏りやスキルの属人化が発生しており、設計成果物の品質の担保が課題となっていました。

このことに危機感を持った若手が中心となり、個人の力量に寄らず最適な設計を可能にする構造最適化プログラム「OOGA」を開発しました。

一般的な港湾構造物の部材と材質、形状の組み合わせは1兆通りを超え、その中から構造成立性と経済性を満たす最適解を見つけ出す必要があります。1兆通りを超すすべての組み合わせを解析するには膨大な時間がかかるため、遺伝的アルゴリズムという手法を用いて最適解を探すプログラムを開発しました。

この遺伝的アルゴリズムは、データを遺伝子で表現した個体を複数用意し、適応度が高い(目的関数の評価値が良い)個体を優先的に選択して交叉させることを繰り返す手法です。

港湾構造物の場合は図1のように「0」と「1」の組合わせの数列で表現します。この「0」と「1」の組み合わせは構造物の部材のサイズや材質を表したものを連結させたものです。この数列を遺伝子と表現しています。

【図1 港湾構造物を遺伝子で表現】

これらの遺伝子を図2のように各世代で優秀な遺伝子同士を交叉させ、最終世代まで生き残ったものを最適解として採用します。

【図2 遺伝子の交叉】

このプラグラムを過去の設計事例に対して行った結果、約8%のコスト削減が確認されました。

今後もこのプログラムを使用することで、設計者の力量に寄らず最適な構造を提案でき、競争力の強化も実現していきます。

ヒトを知る

開発までの経緯

海洋構造物の構造部材の最適化は複雑で時間がかかります。これまで設計者の経験によるところが大きく、競争力強化のためにも最適化出来ないかと若手社員の中で声が上がり開発に至りました。

開発から実装までの課題

プログラムの開発を行いましたが、最適化プログラムの初版は入力が複雑で、従来の最適化と同じくらい時間がかかってしまいました。そこで設計者目線で従来の設計フローに即した順番で情報を入力できるようインターフェイスを新たに開発しました。何を入力すればいいか分かりやすく注釈を入れたり、入力ミスがないように入力形式にもこだわりました。

周囲の反応

部材の最適化に充てていた時間を他の検討に回せるため、より良い構造の提案が出来るようになり、自信をもって競争力のある構造が提案できるようになりました。

今後の展望

港湾の構造物だけでなく、洋上風力の基礎など他の構造物にも適用できるように改良していきたいと思います。